敷地は福岡市の閑静な住宅街にあり、敷地内の母屋で生活している父親の隣に家族と暮らす事を実現する計画。母屋と丹念に手入れされた緑豊かな庭園、立派な歌舞伎門を保存しながら新たにコンクリート2階建ての住宅を配置し、調和させる事を求められることとなる。既存の歌舞伎門の上に建築することは構造的、施工的にも容易な事ではなかったが、出来上がった空間は光にあふれ、緑豊かな庭を望むことのできる気持ちのいいものとなった。
竣工引渡しの際に、施主より「幼少期には現在新築した場所に農業用納屋が存在し、それもまたブリッジのような構成となっていたことを父親と昔話をしながら思い出しました。この建物の形が気に入っていたのは、昔の記憶の原風景からだったのかもしれませんね」予期していないところから人の記憶がよみがえる印象的なプロジェクトとなった。