施工中レポート

ものさしの家

建築家 尾方 孝弘
構造 木造
撮影 大野 博之
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こちらの住宅の計画は2009年の初夏、土地形状と敷地条件の良否を判断することからスタートしました。車椅子での生活にとって駐車スペースやアプローチ導線などの外部との連続性と、移動可能な平面スペースがとても重要で、土地形状から最大の建築面積を切り取る作業が空間構成を決める最初の手掛かりとなりました。
主夫として家事全般を担う活動的なご主人の為に、「一人で動き回れるやさしい住空間」をテーマに設計は進められました。車椅子の回転半径から高さ方向の寸法に加えて、トイレや浴室の使い方まで採寸にご協力頂き、ご入居者様にとって使いやすく、僕にとっては新しい寸法が設定されました。
ご入居者様との打合わせの中で面白いアイデアがいくつも生まれ、木材や住設機器を一緒に見に行くことで、より深く住空間や障碍について話をする貴重な機会を得ました。今までの住宅とは、メモリが違う「ものさしの家」は、設計者にとって新しい発見であり、勉強の場となりました。この住宅がご入居者様ご家族にとって楽しい生活の手助けとなり、子どもたちが健やかにすごせる場所になる事を期待しています。
最後に、現場打合せの度にスロープを作ってくださった現場監督や施工者のみなさん、打合せに同席して子守りをしていただいたASJスタッフなど、多くの人に支えられてこの住宅は出来上がりました。全ての関係者に感謝の意を表すとともに、住宅づくりにおいて同じ夢を見ることの出来るチームの大切さを実感しました。

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